アレルギー疾患を診療します
体には、ウイルスや細菌などの異物が体内に入ってきたときに、これらを攻撃しようとする免疫機能が備わっています。しかし、この機能が害を与えないもの(花粉や食物など)にまで過剰に反応してしまうことで、自分自身を傷つけてしまう症状が現れてしまうようになります。これがアレルギーです。
当院では、これらアレルギー物質が原因で目、鼻、のど、気管支、皮膚などに現れる様々な症状の診察・治療も行っています。
初診に際して
アレルギー科を初めて受診する際には、患者様や保護者の方に、問診表への記載をお願いしています。事前に下記のようなメモ書きをご用意いただくと、診察がスムーズに進みますので、可能な範囲でご協力ください。
● 受診にあたっての確認ポイント
- 初めて症状が出た時期
- 症状の具体的な内容
- 症状が出たきっかけ
- その後の症状の経過
- これまでにかかった医療機関
- これまでに受けた検査の結果
- これまでに使用してきた薬の名称
- 家族にアレルギー患者がおられるかどうか
- ペットの有無
- 喫煙者の有無 など
花粉症
スギやヒノキ、ブタクサといった植物の花粉が原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどのアレルギー症状を引き起こすのが花粉症です。主な症状は、頻回に出るくしゃみ、透明でサラサラした鼻水、両側の鼻づまり、目のかゆみ、のどのイガイガ感などです。このほか微熱が出ることもありますが、高熱になることはありません。
治療は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどを抑える抗ヒスタミン薬を服用します。また、鼻づまりの症状がとくに強い患者様には、内服薬に加えて局所ステロイドの点鼻薬を併用します。このステロイドは、ごく少量で、局所投与ですので、全身の副作用の心配はありません。さらに目のかゆみ・異物感(ゴロゴロ)などの症状があるときは、抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬を用います。
なお、花粉症に関しては、症状が出る前からの治療が認められています。そのため花粉症が飛び始める少し前(約2週間前)から、薬による花粉症の初期療法を始めることができます。これにより症状の発症を遅らせたり、飛散中の症状を緩和する効果が期待できます。
舌下免疫療法
舌下免疫療法は減感作療法に分類される治療法で、アレルギー疾患の原因となる抗原を、低濃度、少量から舌下錠を経口投与し、徐々に増量、高濃度へ移行させ、抗原に対する過敏性を減らしていくものです。現在はスギ花粉とダニ抗原に対する治療を受けることができます。
アレルギー症状を軽減し、長期にわたり症状を抑える可能性のある治療法です。 現在日本では両方とも適応は5歳以上で、治療前には血液検査などでアレルギー検査を行なう必要があります。今までは皮下注射での減感作療法が主流でしたが、痛くなく、自宅で毎日1回服薬するだけなので、負担が楽になりました。現在、舌下免疫療法中のスギ花粉症患者様の症状がかなり抑えられるという結果が得られてきております。
しかし、治療は約3~5年かかり根気を要しますが、全ての患者様に効果が期待できるわけではありません。自宅で治療中に副作用などが生じた場合の対応などに関して、治療を始める前には医師から十分に説明を受け、治療についての十分な理解が重要です。当院では初回内服は院内で行い、十分な観察のもと、副作用出現がないことを確認のうえ、帰宅していただきます。興味のある方は是非ご相談ください。
食物アレルギー
アレルゲンである食品を摂取することで起きてしまうアレルギー反応が食物アレルギーです。症状としては、じんましんなどの皮膚症状、喘鳴などの呼吸器症状、目や鼻、消化管などにおける症状もみられます。
食物のアレルゲンとしては、卵、牛乳、大豆、米、小麦粉、そばなど多数あります。また、今まで全く問題がなかった食品に対して、ある日突然、体が反応してしまうこともあります。なお原因となる食物がわからない場合は、血液検査などのアレルギー検査で特定させるようにします。
治療で最も大切なのは、まずアレルギーの原因となっている食品の摂取を止めることです(除去)。また、対症療法として、じんましんなど皮膚の症状が出ている場合は塗り薬のステロイド、かゆみがある場合は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を服用します。このほか、誘発される症状が重症の場合は、食前に抗アレルギー薬を服用して症状を防ぐという方法もあります。乳幼児期に発症し原因食物の除去を開始した場合、食物によっては自然に免疫を獲得し食べられるようになるこどもや、なかなか食べられないこどももいます。当院では半年~1年に1回、血液検査を行い、適切な時期に原因食物を口から摂取し、症状かゆみないか確認をします(食物経口負荷試験。他院と連携して行うことがあります)。
園や学校では、入園・入学時や進級時にアレルギー生活管理指導表への記載などが必要となると思いますが、当院では検査も含め記載は可能です。
詳しく知りたい方はこちら(独立行政法人 環境再生保全機構『食物アレルギーを正しく知ろう』)