予防接種をきちんと受けましょう
予防接種は、特定の病気(感染症)の予防に有効とされるワクチンを接種することで、病気に対する免疫を高めることを目的に行うものです。接種により、感染症にかかりにくくしたり、また万一かかったとしても症状がひどくならないようにします。
予防接種は、個人の感染予防・重症化の防止という目的もありますが、感染症の流行を阻止する(集団免疫)という目的もあります。予防接種は「自分のため、そして周りのみんなのため」に受けるのです。
なお、当院では同時接種を推奨しております。
接種スケジュールについてお困りの方は当院までお問い合わせください。
ワクチンについて
ワクチンは、感染症の原因とされる各種の細菌やウイルスの病原性を弱めたり、また、それらを無毒化したりすることでつくられます。これを体内に注入することで、抗体(病原体と結合し、それを体内から除去するように働くたんぱく分子)をつくらせ、種々のワクチンに対する感染症にかかりにくくし、また重症化を防ぎます。
小児の予防接種について
赤ちゃんは、誕生後も様々な免疫を母体から引き継ぎますが、その効力は成長と共に減弱し、6カ月くらいをすぎると様々な感染症にかかりやすくなります。そのため、感染症から身を守るため予防接種を行います。多くの場合、生後2ヵ月からワクチン接種が始まります。
お子様が受ける予防接種には、「定期接種」と「任意接種」の2種類あります。定期接種とは、国が「一定の年齢になったら受けるように努めなければいけない」(接種の勧奨)と規定している公費ワクチンです。とくに感染力が強く、集団での感染のリスクがある病気の予防を目的としており、一番重症化しやすい時期に接種が推奨されています。定期接種は、定められた時期に接種しないと費用は自己負担になるのでご注意ください。
一方、任意接種は、国が定める法律外、対象年齢外の予防接種になります。ただ任意であっても、必ずしも重症化しないわけではなく、中には重症化すると命を落とす危険性の高い病気もあります。最近、任意接種から定期接種に切り替わったワクチンは増えてきています。費用は基本的に自費になりますが、任意接種もできる限り受けていくことが推奨されます。
接種するワクチンの分類
定期接種、任意接種のワクチンには生ワクチンと不活性化ワクチンがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
生ワクチン
生きた病原体(細菌やウイルス)の病原性を弱めたものを接種して感染させ、免疫(抵抗力)をつけるワクチンです。その病気にかかったのと同様の強い免疫が得られます。そのため接種回数は不活化ワクチンと比べ、少なくてすみます。また、次に違う種類のワクチンを接種する場合は、4週間以上の間隔を空ける必要があります。
不活化ワクチン
細菌やウイルスにホルマリンや紫外線による処理を加え、免疫をつけるのに必要な成分だけを残して、増殖性や毒性を無くしたワクチンです。生ワクチンと異なり、十分な免疫をつけるには、数回の追加接種が必要になります(※接種回数は、ワクチンの種類によってそれぞれ異なります)。また、次に違う種類のワクチンを接種する場合は、1週間以上の間隔を空けることがあります。
ワクチンの種類、接種時期、接種回数について
小児が定期接種および任意接種で受けるワクチンの種類、接種時期、接種回数等は以下の表の通りです。
定期接種ワクチン
ワクチン | 標準的接種期間 | 接種回数 |
---|---|---|
Hib(ヒブ)ワクチン 【不活化ワクチン】 |
生後2ヵ月~5歳未満 | 1~4回(接種開始年齢によって異なります) |
小児肺炎球菌ワクチン 【不活化ワクチン】 |
生後2ヵ月~9歳 | 1~4回(接種開始年齢によって異なります) |
B型肝炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
生後2ヵ月~ | 3回 |
4種混合ワクチン (ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ) 【不活化ワクチン】 |
生後2ヵ月~7歳6ヵ月未満 | 4回 |
2種混合ワクチン (ジフテリア、破傷風)【不活化ワクチン】 |
11歳~13歳未満 (標準的な接種年齢は小学6年生) |
1回 |
水痘ワクチン 【生ワクチン】 |
1歳~ | 2回 |
BCGワクチン 【生ワクチン】 |
生後5ヵ月~8ヵ月未満 | 1回 |
MR(麻疹・風疹混合)ワクチン 【生ワクチン】 |
1歳~ | 2回 |
MR(麻疹・風疹混合)ワクチン 【生ワクチン】 |
1歳~ | 2回 |
日本脳炎ワクチン 【不活化ワクチン】 |
生後6ヵ月~ (標準的な初回接種年齢は3歳) |
3回 |
ヒトパピローマウイルス 【不活化ワクチン】 |
中学1年生~ | 3回 |
任意接種ワクチン
ワクチン | 標準的接種期間 | 接種回数 |
---|---|---|
ロタリックス(ロタウイルスワクチン) 【生ワクチン】 |
生後6週~24週 | 2回 |
ロタテック(ロタウイルスワクチン) 【生ワクチン】(当院での取り扱いはありません) |
生後6週~32週 | 3回 |
おたふくかぜワクチン 【生ワクチン】 |
1歳~ | 2回 |
インフルエンザワクチン 【不活化ワクチン】 |
生後6ヵ月~12歳 | 2回 |
13歳~ | 1回または2回 |
※ロタウイルスワクチンの接種前後30分は授乳ができませんので、ご注意ください。
※上記以外のワクチンについては、別途ご相談ください。
※公費で接種できなかったワクチンの料金については当院にご連絡ください。
※0歳や1歳の時点でワクチン接種の「打ち漏らし」があったとしても、それよりも上の年齢で接種できる場合があります。「接種を受けていない」「必要な回数を終わらせていない」などのケースについては、当院へ事前にお電話でご相談ください。
なお、日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールはこちら
ワクチンを接種できないケース
- 37.5℃以上の発熱がある方
- 基礎疾患があり他院でワクチン接種を禁止されている方
- 妊娠中の方
- ステロイド内服中の方(内服投与後2日程おくこと。吸入は可。)
- 【ロタワクチンの場合】消化器症状(嘔吐、下痢など)のある方
延期した方が良いケース
- 上気道炎、胃腸炎等…医師の診察で決定
- 伝染性紅斑、インフルエンザ等…治癒後1週間未満
- 突発性発疹、手足口病、溶連菌感染症…治癒後2週間未満
- 風疹、水痘、おたふく…治癒後2週間未満
- 麻疹…治癒後4週間未満
- 熱性けいれん…最終発作から2ヶ月未満(詳しくは医師にご相談ください)
- 風邪…解熱後7日したら可。(詳しくは医師にご相談ください)
その他に注意が必要なケース
- ACTH、免疫グロブリン治療後…生ワクチンは6ヶ月以上空ける。
不明点あれば、医師、看護師に御相談ください
お持ちいただくもの
- 1.予防接種予診票、あるいは乳幼児健診問診票(必須)
- 2.母子健康手帳(必須)
- 3.健康保険証
- 4.小児医療証
- 5.診察券(お持ちの方) など
※万一の副反応に備えて、接種後15分程度は接種場所の近くに留まっていましょう。接種当日はいつも通りの生活をして構いませんが、激しい運動は避けてください。お風呂は接種後3時間空けて入浴可能です。接種後、体調の変化がみられた際は、すぐに医師にご相談ください。
乳幼児健診について
乳幼児健診は、お子様の健康状態を定期的にチェックするために行われます。お子様の成長・発達、栄養状態の確認、先天性疾患を含む病気の有無の確認、また予防接種の時期や種類の確認などを行なうことが大切になります。当院では6-7か月健診、9-10か月健診を中心に行っておりますのでご予約のうえ、ご来院ください。